行動と不安の関係を整理してみる

行動できない理由 行動できないとき

はじめに:不安があって動けないのは、自然なこと

「やったほうがいいのは分かっている。でも、どうしても手が動かない」
そんな日が続くと、自分を責めてしまうことがあります。不安があるせいで行動できないのか、それとも行動できない自分だから不安になるのか。頭の中で考えがぐるぐる回って、余計に疲れてしまうこともあるでしょう。

まず伝えたいのは、不安と行動が結びついてしまうのは、とても自然なことだという点です。人は安全を守るために、不確かなものを前にすると立ち止まるようにできています。動けないのは弱さではなく、むしろ心がちゃんと働いている証拠でもあります。

ここでは「どうすれば不安を消せるか」ではなく、不安と行動がどう関係しているのかを、少し整理することを目的にします。答えを急がず、今の状態を理解するところから始めてみましょう。


悩みの正体を分解する:意志や性格の問題ではない

行動できないとき、よく「自分は意志が弱い」「性格の問題だ」と考えてしまいがちです。でも、少し視点をずらしてみると、別の見え方ができます。

不安は、多くの場合「結果が分からないこと」から生まれます。
・うまくいかなかったらどうしよう
・失敗したら評価が下がるかもしれない
・始めたのに続かなかったら、自分が嫌になる

こうした思考は、未来を先取りして想像する力があるからこそ生まれます。努力不足というより、想像力がきちんと働いている状態とも言えます。

また、「行動」という言葉が大きすぎる場合もあります。
本当は「メールを1通書く」だけなのに、頭の中では「仕事全体を前に進める」「人生を変える一歩」くらいに膨らんでしまう。そうなると、体が固まるのも無理はありません。

つまり、問題は「行動しないこと」そのものではなく、
不安・想像・行動が一つの塊になってしまっていることにあります。


考え方・視点の整理:正解ではなく、判断軸を持つ

不安をなくしてから行動しようとすると、多くの場合、動き出しは遅くなります。なぜなら、不安は「ゼロ」になることがほとんどないからです。

ここで役立つのは、「不安があるか・ないか」ではなく、
「この不安は、今の自分にとって扱える大きさか」という判断軸です。

たとえば、
・今感じている不安は、情報不足から来ているのか
・それとも、失敗への想像が膨らみすぎているだけか
・今日じゃなくてもいい不安なのか

こうした問いを立てるだけでも、不安と少し距離ができます。

もう一つの視点は、「行動=前進」と決めつけないことです。
休むこと、整理すること、考えを書くことも、広い意味では行動です。
ただし、それを逃避として使っているのか、準備として使っているのかは、意識しておきたいポイントです。

正解を出す必要はありません。
「今はどの位置にいるのか」を把握するだけで十分です。


一般化された具体例:途中にいる人の話

ある人は、新しい仕事の準備をしようと思いながら、数週間ほとんど手を付けられませんでした。毎日「今日こそやろう」と考えては、不安が強くなり、結局何もできない。そんな状態が続いていました。

ある日、その人は「ちゃんとやる」のを一度やめました。
代わりに、ノートに「不安に思っていること」を箇条書きで書き出しただけです。解決策は考えず、良い・悪いの判断もしない。ただ書く。

それだけで状況が劇的に変わったわけではありません。
でも、「不安が形になった」ことで、少し呼吸がしやすくなったと言います。その翌日、資料を開いて1ページだけ眺めました。進んだのは、それだけです。

この人は、今も途中です。
不安が消えたわけでも、行動力が急に高まったわけでもありません。ただ、「不安がある状態で、触れられる範囲」を見つけただけでした。

多くの人は、成功談ではなく、こうした途中の状態を行き来しながら進んでいます。


まとめ:行動は1mmだけ。無理に前向きにしない

行動と不安は、切り離せない関係にあります。
不安があるから動けないのではなく、不安があるからこそ、動き方を慎重に選んでいるとも言えます。

今日、何かを大きく変える必要はありません。
1mmでいい。触れる、開く、書く、眺める。
その1mmが「やった気」にならなくても構いません。

大切なのは、無理に前向きにならないこと。
「大丈夫」と言い聞かせるより、「今はここまでならできそうだ」と静かに確認すること。

不安を敵にしなくていい。
行動を正義にしなくていい。

その間にある、あいまいな場所に立ったままでも、人は少しずつ進めます。
今日は、その整理ができただけでも、十分な一日です。

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