はじめに:動けない自分を責めてしまうあなたへ
やるべきことは頭の中にある。
時間も、環境も、ある程度は整っている。
それなのに、なぜか体が動かない。気持ちだけが焦って、結局何も進まないまま一日が終わってしまう。
そんな状態にいると、「自分はだめだ」「またできなかった」と、つい自分を責めてしまうかもしれません。でもまず伝えたいのは、その状態自体は、とても自然なものだということです。
人はいつも、やる気と行動がきれいにつながって生きているわけではありません。むしろ、動けない時期があったり、足が止まったりするのは、誰にでも起こることです。
行動できない状態は、異常でも失敗でもなく、「そういう時期」に入っているだけ。まずは、その前提に立ってみてください。
悩みの正体を分解してみる
行動できないとき、多くの人は原因を「自分の性格」や「努力不足」に求めてしまいます。でも、それは少し乱暴な見方かもしれません。
実際には、行動が止まる背景には、いくつかの要素が重なっています。
たとえば、
・考える量が多すぎて、判断が追いついていない
・失敗したときの影響を想像しすぎている
・「やるべきこと」が曖昧なまま、完璧な形を求めている
・心や体が、すでに疲れている
こうした状態が重なると、行動は自然と鈍ります。これは意志の問題ではなく、負荷の問題です。
重たい荷物を抱えたまま走れないのと同じで、今のあなたは、動く前にすでに重さを背負っているのかもしれません。
考え方・視点を少しだけ整理する
ここで大切なのは、「どうすればすぐ動けるか」という正解を探さないことです。
代わりに、判断の軸をひとつ持つことを意識してみてください。
おすすめなのは、
「これは“前に進む行動”か、それとも“止まったまま考え続ける行動”か」
という問いです。
たとえば、資料を完璧に整えることも、情報を集め続けることも、一見前向きに見えます。でもそれが何時間も続いているなら、実際には止まったままの可能性もあります。
逆に、
・5分だけ手を動かす
・途中まででも保存する
・人に見せる前提でなく、下書きを作る
こうした小さな行為は、結果がどうであれ「前に進む行動」です。
良し悪しではなく、進んでいるかどうか。その一点で判断してみると、考え方が少し楽になります。
一般化された具体例:ある人の途中の話
ある人は、ずっと「やりたいことがあるのに動けない」状態に悩んでいました。計画を立てては修正し、情報を集めては不安になり、結局何も始められない日々が続いていたそうです。
転機になったのは、「ちゃんとやろうとするのをやめた」ことでした。
完成を目指すのではなく、「今日はファイルを開くだけ」「タイトルを仮で決めるだけ」と、行動を極端に小さくしたのです。
それでも、毎日進めたわけではありません。動けない日もありましたし、何もできずに終わる日もありました。ただ、「動けない日があってもいい」と扱い始めたことで、止まったまま自己否定する時間が減っていきました。
結果として、進みは遅かったけれど、以前よりも自然に、行動が生活に混ざるようになったそうです。成功談というより、「途中で息ができるようになった話」に近いかもしれません。
まとめ:行動は1mmでいい
行動できない状態から抜けるために、大きな覚悟や強い前向きさは必要ありません。
必要なのは、「動けない自分を無理に変えようとしないこと」と、「ほんの少しだけ前に触れること」です。
1mmでいい。
昨日より少し進んだかどうかも、実は重要ではありません。
今日、止まりきらなかったか。それだけを見てみてください。
前向きになれなくてもいい。やる気がなくてもいい。
それでも、ほんのわずかに手を伸ばせたなら、それは立派な行動です。
行動できない状態は、抜け出すべき敵ではありません。
自然に、少しずつ、通り過ぎていくものです。
その流れの中に、あなた自身のペースで立っていて大丈夫です。
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