はじめに：決められない時間は、無駄ではない
何かを決めなければいけない場面で、
頭では分かっているのに、どうしても決断できない。
周りはどんどん進んでいるように見えて、自分だけが止まっている気がする。
そんなとき、「なんで自分はこんなに決められないんだろう」と、責める気持ちが出てくることがあります。
けれど、まず知っておいてほしいのは、
決断できない状態は、決して異常でも、怠けでもないということです。
それは、多くの人が人生のどこかで経験する、ごく自然な反応です。
決められない時間は、何もしていないように見えて、実は心の中ではたくさんのことが起きています。
その事実を、いったん肯定するところから始めてもいいのかもしれません。
悩みの正体を分解する：なぜ決断は難しくなるのか
決断できないとき、人は「意志が弱いからだ」と考えがちです。
でも実際には、もっと別の要因が重なっています。
一つ目は、「選択の重さ」です。
選んだ先に責任が伴うと感じるほど、決断は難しくなります。
特に、やり直しがきかないと思っている選択ほど、手が止まります。
二つ目は、「失敗への想像が先に立つこと」です。
うまくいった場合よりも、うまくいかなかった場合の影響を強く想像してしまう。
これは慎重さであり、欠点ではありません。
三つ目は、「正解を選ばなければならない」という思い込みです。
この前提があると、選ぶ前からプレッシャーがかかり、動けなくなります。
これらは性格の問題でも、努力不足でもありません。
不確実な状況で、真剣に考えている人ほど起きやすい状態です。
考え方・視点の整理：決断を「正解探し」から外す
決断できないとき、多くの人は
「どれが正しいか」「後悔しないのはどれか」
を考え続けています。
でも、未来の正解は、選ぶ前には分かりません。
だからこそ、正解を探そうとするほど、決断は遠ざかります。
ここで視点を少し変えてみます。
決断を「正解を当てる行為」ではなく、
「今の自分が引き受けられる選択をする行為」と捉えてみる。
判断軸は、こんな形でも構いません。
・今の自分の体力や気力で続けられそうか
・途中で方向転換しても、自分を責めすぎずに済みそうか
・結果がどうであれ、選んだ理由を説明できそうか
これらは、正しさを保証するものではありません。
ただ、決断を「自分の状態に合わせた選択」に戻してくれます。
一般化された具体例：決められないまま進む人の話
たとえば、環境を変えるかどうかで迷っている人がいます。
今のままでも大きな不満はないけれど、この先を考えると不安がある。
変える選択にも魅力はあるけれど、失敗したらどうしようという気持ちが強い。
何度も考え、何度も情報を集め、それでも決められない。
その人は、自分を「優柔不断だ」と感じていました。
あるとき、その人は
「今は決められない、という判断もあるのかもしれない」
と考えるようになります。
すぐに大きな決断はしませんでした。
ただ、小さく試せることだけを一つ選びました。
完全な答えではありませんし、不安も残っています。
それでも、「決められない自分を責め続ける」状態からは抜けました。
これは成功談ではありません。
今も迷いながら進んでいる、途中の話です。
まとめ：行動は1mmだけでいい
決断できない自分を、無理に変えようとしなくていい。
責める必要も、鼓舞する必要もありません。
行動は1mmで十分です。
今日は決めないと決める。
判断材料を一つ減らす。
今の気持ちを書き出してみる。
それは立派な行動です。
決断できない時間は、止まっているようで、実は準備の時間でもあります。
焦らなくていい。
無理に前向きにならなくていい。
ただ、「決められない自分を責めない」という選択だけは、
今日からそっと、持っていてもいいのだと思います。
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