はじめに:比べたくないのに、目に入ってしまうときへ
フリーランスとして働いていると、ふとした瞬間に他人と自分を比べてしまうことがあります。
SNSで流れてくる成果報告。
「忙しい」「案件が増えた」という何気ない一言。
それを見た途端、胸の奥がざわつく。
比べるつもりはなかった。
気にしないでいようと思っていた。
それでも、気づいたら自分の立ち位置を測ってしまっている。
そんなとき、「また比べてしまった」「器が小さいのかな」と自分を責めてしまう人もいるかもしれません。
でもまず伝えたいのは、フリーランスが他人と比べてしまうのは、とても自然なことだという点です。
それは性格の問題でも、心の弱さでもありません。
この働き方そのものが、比べやすい構造を持っている。
ここでは、その理由を少しずつ言葉にしていきます。
悩みの正体を分解する:比べてしまうのは「基準」が見えにくいから
フリーランスが他人と比べやすい理由の一つは、
自分の現在地を測る明確な基準が少ないことです。
会社員であれば、役職や評価制度、給与テーブルなど、
良くも悪くも「比較の枠」が用意されています。
一方、フリーランスにはそうした共通の物差しがありません。
だから人は、無意識に「他人」を基準にします。
売上、仕事量、フォロワー数、活動の見え方。
分かりやすく見える数字や発信が、仮の基準になってしまう。
さらに、フリーランスは成果が可視化されにくい働き方でもあります。
水面下で積み重ねている調整や試行錯誤は見えず、
目に入るのは、うまくいっている“結果の一部”だけ。
比べてしまうのは、
「自分が劣っているから」ではなく、
「確認する手がかりが少ない状態」に置かれているから、
とも言えるのです。
考え方・視点の整理:比較は止められなくていい
「比べないようにしよう」と言われることは多いですが、
実際には、完全に比べるのをやめるのは難しいものです。
ここで一つの視点として、
比較そのものを悪者にしない
という考え方があります。
比べてしまうのは、今の自分の位置を知ろうとしている反応でもあります。
問題は、比較したあとにどう扱うか、です。
判断軸として使えるのは、
・その比較は、自分を前に進ませているか
・それとも、動けなくしているだけか
この違いを見分けること。
比べて落ち込んで終わるなら、一度距離を置いてもいい。
でも、比べた結果「自分は今ここにいる」と整理できるなら、
それは必ずしも悪い比較ではありません。
他人は、答えではなく、参考資料の一つ。
そう位置づけ直すだけで、比較の重さは少し変わります。
一般化された具体例:比べて疲れていた人の話
あるフリーランスは、仕事の合間にSNSを見るのが習慣になっていました。
同業の投稿が流れてくるたびに、
「自分は遅れている気がする」と感じていたそうです。
最初は、「もっと頑張らなきゃ」と思いました。
でも比べるほどに、何をすればいいのか分からなくなっていきました。
そこで、この人は比較をやめる代わりに、
比較の置き場所を変えることにしました。
・他人と比べる前に、半年前の自分を見る
・成果ではなく、続いている行動だけを確認する
・比べて苦しくなった日は、判断をしない
他人を見るのをやめたわけではありません。
ただ、「比べたあとに自分を殴らない」ことを意識しました。
比べる気持ちは今もあるそうです。
でも、それに振り回されて止まることは減ったと言います。
まとめ:行動は1mmだけ。無理に前向きにしない
フリーランスが他人と比べてしまうのは、
怠けているからでも、意志が弱いからでもありません。
基準が見えにくい場所で、一人で判断しているからです。
比べてしまう自分を、無理に変えなくていい。
前向きに解釈しようとしなくてもいい。
できることは、1mmで十分です。
・比べてしまった事実を、そのまま認める
・今日の自分がやったことを一つ書く
・判断を明日に持ち越す
それだけでも、流れは止まりません。
比べること自体よりも、
比べたあとにどう自分と付き合うか。
そこに、少しだけ余白を残せたら十分です。
この文章が、
「比べてしまっても続けていい」と思える材料になれば、
それで意味はあります。
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