はじめに:その不安は、あなただけのものじゃない
フリーランスとして働いていると、理由ははっきりしないけれど、どこか落ち着かない感覚を抱え続けている、という人は少なくありません。
仕事がある時でさえ、「この状態がいつまで続くんだろう」と考えてしまう。
逆に、少し仕事が空くと、「自分はもう必要とされていないのでは」と不安が膨らむ。
こうした気持ちを抱くと、「自分は気にしすぎなんじゃないか」「メンタルが弱いのかな」と思ってしまうかもしれません。
でもまず伝えたいのは、その不安はとても自然なものだ、ということです。
フリーランスという働き方そのものが、不安を感じやすい構造を持っています。
感じている不安を、性格や努力不足のせいにしなくていい。
ここでは、その理由を少しずつ整理していきます。
悩みの正体を分解する:なぜ不安が消えにくいのか
フリーランスが不安を感じやすい大きな理由の一つは、「不確実性の多さ」です。
会社員であれば、来月の給料や所属先がある程度見えています。
一方でフリーランスは、収入も仕事量も、人との関係も、常に流動的です。
さらに厄介なのは、不安を“数値化”しにくいことです。
売上が下がったから不安、という単純な話ではありません。
仕事があっても、将来の保証がないこと自体が不安を生みます。
もう一つ大きいのが、「判断をすべて自分で背負う」ことです。
仕事を受けるか断るか、単価は妥当か、この方向性で合っているか。
正解が分からないまま、選択を繰り返す日々は、想像以上に消耗します。
この不安は、「弱さ」ではなく「構造的な負荷」です。
誰がやっても、一定の不安を抱きやすい立場にいる。それだけの話なのかもしれません。
考え方・視点の整理:不安を消そうとしない、という選択
不安を感じると、多くの人は「この不安をなくしたい」と考えます。
でも、フリーランスにとって不安をゼロにすることは、ほぼ不可能です。
ここで視点を少し変えてみます。
不安を「なくす対象」ではなく、「共に存在するもの」と捉えてみる、という考え方です。
不安がある状態=ダメ、ではありません。
むしろ、不安があるからこそ慎重になり、準備をし、考えることができる側面もあります。
大切なのは、不安があるかどうかではなく、
「不安に飲み込まれて、身動きが取れなくなっていないか」です。
判断軸としては、
・今感じている不安は、具体的な行動につながるか
・それとも、ただ頭の中でぐるぐるしているだけか
この違いを見分けるだけでも、気持ちは少し整理されます。
一般化された具体例:途中にいる人の話
たとえば、こんなケースがあります。
フリーランスになって数年。
仕事はゼロではないけれど、常に安定しているとも言えない。
SNSを見ると、順調そうな人が目に入り、自分だけ取り残された気がする。
この人は、「もっと動かなきゃ」「営業しなきゃ」と思いながらも、
不安が強すぎて、何から手をつければいいのか分からなくなっていました。
ある時、気づいたのは、「不安を感じない状態になってから動こうとしていた」ことです。
でも実際は、不安がなくなるタイミングは来ませんでした。
そこで、この人は目標を変えました。
「不安を解消する」ではなく、「不安があるまま、確認できることを一つやる」。
売上を伸ばす、ではなく
・今月の固定費を書き出す
・過去の依頼主に近況報告を送る
結果はすぐには変わりませんでしたが、
「完全に止まっている状態」からは抜け出せた、と感じたそうです。
まとめ:行動は1mmだけ。無理に前向きにしない
フリーランスが不安を感じやすいのは、気合いや性格の問題ではありません。
不安が生まれやすい構造の中で、日々判断を重ねているからです。
だから、不安を感じる自分を責めなくていい。
そして、不安を消そうと無理に前向きになる必要もありません。
もし何か動くとしたら、1mmで十分です。
気持ちを切り替える、覚悟を決める、そんな大きなことじゃなくていい。
「今日はここまで考えた」
「一つだけ確認した」
それだけでも、止まっていた流れは少し動きます。
不安がある状態で進んでもいい。
進みながら考えてもいい。
フリーランスという働き方は、常に途中にいる感覚と一緒に歩くものなのかもしれません。
この文章が、あなたの不安を消す答えにならなくても、
少し整理するきっかけになれば、それで十分です。
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