はじめに:不安があるまま働いている人へ
仕事をしている最中も、心のどこかに不安が残っている。
集中しているはずなのに、ふとした瞬間に「このままで大丈夫だろうか」と考えてしまう。
そんな状態で日々を過ごしている人は、決して少なくありません。
それでも仕事は続けている。
止まっているわけではない。
だからこそ、「こんな気持ちのままで働いていていいのかな」と、自分を疑ってしまうこともあるでしょう。
でも、不安を抱えながら仕事をしている状態は、異常でも失格でもありません。
むしろ、多くの人がその途中にいます。
ここでは、「不安をなくしてから続ける」のではなく、
「不安がある状態で、どう仕事と付き合っていくか」という視点を整理していきます。
悩みの正体を分解する:不安は仕事を止めるサインではない
不安を感じると、多くの人はそれを「今の働き方が間違っている証拠」と捉えてしまいます。
でも、不安の正体はそれほど単純ではありません。
不安は、
・先が見えないこと
・判断を一人で抱えていること
・失敗した場合の影響が大きいと感じていること
こうした要素が重なって生まれる反応です。
努力不足や覚悟の問題ではありません。
特に個人で働いている場合、不安は仕事の外側だけでなく、仕事そのものに結びつきやすくなります。
「この仕事を続けていいのか」
「このやり方は間違っていないか」
考え続ける姿勢があるからこそ、不安も生まれます。
不安は、「やめたほうがいい」という合図ではなく、
「確認しながら進んでいる」という状態の表れとも言えます。
考え方・視点の整理:不安がある前提で続ける
不安をどうにかしようとすると、
「安心できる状態になったら動こう」
「自信がついたら続けよう」
という発想になりがちです。
でも実際には、完全に安心できる瞬間はなかなか訪れません。
そこで視点を少し変えてみます。
不安があることを前提に、続けられる形を探す
という考え方です。
判断軸として役立つのは、
・この不安は、今の仕事を破壊しているか
・それとも、揺れながらも回っている範囲か
この違いを見分けることです。
不安がある=続けられない、ではありません。
眠れないほど追い詰められているのか、
それとも、考えながら手は動いているのか。
後者であれば、「続けながら整える」という選択肢も十分にあり得ます。
一般化された具体例:不安を抱えたまま働く人の話
ある人は、仕事を続けながら、常に不安を感じていました。
大きな問題が起きているわけではない。
でも、安心できる感覚がなく、「このままでいいのか」という問いが消えません。
以前は、不安を感じるたびに方向転換を考えていました。
何かを変えれば、この気持ちはなくなるはずだ、と。
けれど何度か繰り返すうちに、
「不安は環境を変えても形を変えて残る」
ということに気づきました。
そこで、この人は目標を変えました。
不安を消すことではなく、
・不安が強い日は判断を保留する
・不安が弱い時間帯に作業を進める
・不安を感じている事実だけを記録する
不安は今もあります。
でも、「不安がある=止まるしかない」という状態からは抜け出せたと言います。
まとめ:行動は1mmだけ。無理に前向きにしない
不安な状態で仕事を続けることは、
決して間違った生き方ではありません。
不安を感じているからこそ、立ち止まり、確認し、考えている。
それ自体が、仕事と誠実に向き合っている証でもあります。
無理に前向きにならなくていい。
自信を持とうとしなくてもいい。
もし何かするとしたら、1mmで十分です。
・今日はここまで進めた、と区切る
・不安を感じた時間帯を振り返る
・「続けている事実」を一つ確認する
それだけでも、仕事は途切れていません。
不安は、消すものではなく、
扱い方を少しずつ覚えていくものなのかもしれません。
この文章が、
「不安があっても続けていい」と思える余地を残せたなら、
それで十分です。
このテーマについては、こちらで整理しています